聞けるわけないか。

何で、あんなことしたのか、なんて・・・。

「ううん、何でもない、お休み」

「そうですか?…お休みなさい」


軽く手を振ると、蒼空は車を出し、私はマンションの中へ。

自分の階に着き、エレベーターを下り、自分の部屋へ。



「・・・」

思ってもいない人物に出くわし、言葉を失う。


「良かった、ここに来たけど、いないみたいだったから、

帰ろうと思ってたんだ」

そう言いながら私に近づいてきたのは。


「…社長、出張中じゃ」

そう、県外に出張中のはずの社長だった。


「今さっき帰って来たところなんだ。会社は明日に行けばいいから、

…それより、工場の事助かった、ありがとう」


「…いえ、社長の代理を務めるのも、専務の役目ですから」

私の言葉に首を振る。


「いや、本当なら私が行かなければいけなかったんだ。

本当に感謝してる・・・美緒には、借りが出来た」

「そんな」