この温かさも、…このキスも。

あまりにリアル過ぎた。

私は重い瞼を必死にこじ開けた。


「あんまり可愛い寝顔だったので、つい・・・」

そう言って微笑んだのは、誰でもない、私の『彼氏』


「…帰るわ」

混乱する心を何とか静め立ち上がる。

…しかし、体は言う事を聞かない。

つい今まで、眠っていたのだ。体はまだ完全に目覚めきっていない。


そんな私の体はよろめき、蒼空に倒れ掛かる体勢に。


「無理、しないでください」

「・・・大丈夫よ、タクシーで帰るから」


「そんな事はさせませんよ、僕が送ります」

「・・・いいってば」


「そんな事ばかり言ってたら、本気で怒りますよ?」

「・・・・」


珍しく怒った口調で、そう言われ、反論できなくなる。


「ここは、素直に甘えましょうね」

そう言って微笑んだ蒼空は、もう、全然怒ってなくて。

私は、思わずホッと溜息をついて頷いた。