「君に、美緒を幸せにすることはできない。

美緒を幸せに出来るのは、このオレだ」


言い切った海人に、蒼空は何も言い返せない。


「・・・いじめないで」


「…美緒?」


「蒼空を苛めないで・・・

悪いのはすべて私だから・・・・」

「美緒」
「美緒さん…」


「自分の気持ちにふたをするのはたやすい事じゃなかった。

だって現に今も蒼空の事が好きだから・・・

でも、私が我が儘を言って、蒼空を苦しめるわけにはいかない。

会社を潰すわけにはいかない」


そう言った時だった。

突然の携帯の着信音。


なかなか鳴りやまないので、已むおえず出る事に。


「・・・もしもし」

『美緒、これは社長命令だ。

今すぐ蒼空とよりを戻して日本に帰ってこい・・・

美緒はもう、何も心配する事はないんだ。

美麗にはお灸をすえたから・・・・

自分の気持ちに正直になれ』

それだけ言って、電話は切れた。