「それは、俺のテニスのプレーを好きって言ってるのかな。それとも、俺自身を好きって言ってくれてるの。」
彼はその言葉と同時に伏せていた目をそっとあゆみに向けて眼差した。

もう、あゆみは何が何だかわからなかった。

私はいったい、先輩の何が好きなのだろう。

そんなこと考えたこともない、とでもいうように混乱した。

「あの、ごめんなさい。
やっぱりどこが好きとか、分かりません。でも、でも、なんだかドキドキするんです。
そんなの私、初めてなんです。」
これが精一杯の言葉だった。
これがあゆみの気持ちだった。