「おい!どこ行く気だよ!」



栞里は振り返り笑いながらこう言った。



「ついて来ないで…ね」



その後はダッシュする栞里。


それを追いかける俺。



着いたのは…屋上。




栞里はフェンスを越えて淵ギリギリに立つ。



「おい!何してんだよ!」



―――ズキっ。



この場面…どこかで…。



「やっぱり…ダメかぁ。追いかけてくれたから…少し期待してたみたい」



「何言ってんだよ!!はやくこっち来いよ!!落ちたら死ぬぞ!?」



「いいよ…別に…。もう…辛くてしかたないから…」



「俺が…!!俺がお前のこと守ってやるから!!」



栞里は驚いた顔をして微笑んだ。




「颯斗だ…。ありがとう…。あの時と一緒。それだけで十分だよ。大好き…」




「待てって!!」



―――ズキン。



『はぁ!?好きじゃないし!!』

『あ、赤くなんか…!!』

『…颯斗』



思い出した…。
栞里…俺の大事な女の子。

素直じゃなくて…でもそんなとこが可愛くて…。



「栞里…待たせてごめんな…?」



「はや…と?」



「栞里のこと忘れててごめん…。でも、もう2度と忘れないから。だから…俺んとこ来いよ…。お前が死んだら俺立ち直れねーよ」



「記憶…戻ったの?ほんとに…ホント?夢じゃないんだよね…?」



「夢じゃないよ。ほら、俺の手捕まって」



「うんっ…」