「どうした妹」
クミンは腹筋をしながら声をかけると、早紀はしばらく黙ってから「ごめんね」って小さな声を出す。

早紀……。
謝りに来たんだ。

「ごめんなさい」
いつも勝気で私を下に見ている妹が、うつむきながら小さく言う。

「別にいいよ」
顔も見ずにクミンが言うと

「学校の帰り……片岡さんと会って、お姉ちゃんと片岡さんの言い合いを聞かされて、片岡さんに嫌味を言われて、お姉ちゃんに八つ当たりした」

勝気な妹は
本当はとっても素直な子。

しかし片岡さん
早紀にまでそんな事を言うとは
よっぽど怒ってたんだ。

シルバニアのリビングで
ベビーベッドで遊ぶあらいぐまの赤ちゃんと、顔を合わせてうなずく私である。

あらいぐまファミリーは何も話してくれないけれど……いや、話されたらもっと複雑になってしまう。

クミンだけで十分です。

「お団子ヘア可愛いよ。似合ってる。眉毛はもう少し眉尻を短くしてもいいかもしれない」
そう言って
後ろ手に持っていた
イマドキのおしゃれな雑誌をクミンに渡す。

「ありがとー」
クミンは喜び
腹筋を止めて立ち上がって扉に近寄り、早紀をハグ。

早紀は驚いてから笑って「あと……お願いがある」そう言った。

「何?」
雑誌を借りてご機嫌なクミンは、妹から離れて妹に聞くと

「明日もパン?」

って聞かれた。