家に帰ると
玄関で見知らぬ靴を発見。

それも
臭そうなスニーカー
かかとの部分のゴムが擦れてて、もうボロボロ。
左右バラバラに散らばるその靴は、持ち主そのもの。

私は楽しさに口元をほろころばせ
スニーカーを揃え
居間に入ると

まっ黒に日焼けした叔父さんが、お母さんと大きな声で笑っていた。

「おかえり。隆雄おじさん」

「春菜大きくなったなー」

振り返ったおじさんは、まっ黒に日焼けした顔で白い歯を輝かせ私に声を上げる。

母の弟であるこの人は、若い頃から放浪のくせがあり、今は外国で何をやってるのか……。

その仕事内容はよくわからくて怪しいけど、いつもふらりと我が家を訪れる自由人。
私は何年かに一回会う確率だけど、この叔父さんが大好きだった。

「今どこにいるの?」
興奮しておじさんの目の前に行くと、叔父さんは身振り手振りを加え沢山話をしてくれた。

今はインド方面で商売をしていて(その内容は聞かなかったけど)命の危険を感じながら毎日暮らしているそうだ。本当か嘘かわからない話ばかりだけど、平凡な毎日を過ごしている私にとってはかなり楽しい。

「話が大きくなってるわよ」
台所でお母さんが口を挟む。

年齢を考えず、いつまでもフラフラしている叔父さんは悩みのタネだと。いつもお祖母ちゃんと言い合ってるお母さんも、久しぶりに会えて嬉しそう。

うん。私も嬉しいよ。
着替えもせず
おもしろおかしく話を聞いてると

「そうそう、お土産があるんだ」
叔父さんは擦り切れた大きなバッグを引っ張り、階段の下へ行き妹の名前を呼ぶ。

「早紀!お土産あるぞー」

叔父さんはテーブルに小さなペンダントをひとつ置く。

それは願いを叶えるという素敵な天然石。
深い藍色で遠い外国から海を越えてやってきた石。
神秘的な綺麗な石は小指の爪ほどの小ささで、シンプルな茶色い革ヒモで結ばれている。

わぁ
とっても綺麗。