せっかく並んで一緒に帰っているのに
私は泣き止まないクミンが気になってしかたない。

「……で、どう?」
えっ?
何か言ってた菅原君。

「ごめんなさい。聞き逃しちゃった」
素直に言うと
「別にいいけど」
スネた感じで言われてしまった。

気を悪くさせたかな。
どうしようってオロオロしてたら

「嘘だってゴメン」
笑って話を続けてくれたので、心からホッとする。

「明日とあさってはバイト入ってるけど、来週は入れないから、よかったら出かけない?映画でも買い物でもいいよ。春菜の行きたいとこ行こう」

夢のようなお話だ。

すると泣いていたクミンがポケットで叫び出す。

「インド!インドに行きたい」

叫んでからまた泣く。

そうか
ホームシックか。

「春菜?」

「あ、インド」

「インド?」
つい出た返事に菅原君は苦笑い。

「インドは遠いかな」
だよね、私ったらクミンに気を取られて、とんでもない事言っちゃった。
菅原君に『遠い』と言われ
クミンの泣き声が大きくなる。

「ごめんなさい。まだボーっとしていて」
誤魔化すと心配そうな顔をする。

別の意味でごめんなさい。