帰り際

「拓真。吉田の家に直行だって?俺も一緒に行く」

「拓真も行くなら私達も行く!」
人気者だから
菅原君が動くとなると人が増える。

「悪い。俺、やっぱり行かない」
軍団の中心で菅原君が謝ると、ちょっとしたブーイングが起こっていた。

「いや、マジごめん。次は必ず行くから、今日は彼女送って行くから」

の、一言で
教室中が静まり返る。

すんごく
すんごく嫌な予感がするんですけど

「帰るぞ春菜」
菅原君は堂々と私に向かって声をかけ、私のカバンをスッと持つ。

「はい、じゃ……由実ちゃんバイバイ」
さっきまで話をしていた由実ちゃん達が、呆然として菅原君の後を歩く私を見つめて返事もない。

誰も口を開かない
有南さんだけが笑顔を浮かべていて、ふたり教室を出た時、すごいどよめきが教室の中から聞こえてきた。

明日
土曜日でよかった。