「抱え込むなよ。甘えられる時は甘えとけ。
元気出るまで、側にいてやるから」
「……上から目線………」
「あ゛っ?」
「……あたしの方が、おねーさん………」
「残念ながら、精神年齢は俺のが上」
「……ナマイキ………」
「うるせー、意地っ張り。
いいから、もう黙って甘えろ」
悪態つきつつも、……次第に涙腺が壊れてきた。
背中をトントンあやされて、
───あたしを癒してくれる、優しいあの手を思い出したから。
口は悪いけど、なんだかんだ、結局あたしを助けてくれる雄仁。
でも、………
手から伝わってくる体温も、
額から感じる鼓動も……
あたしの中の何かが、「違う」と囁いている。
そして、もう一つ………
頭の隅から消えない、さっき駅で見かけた、あの光景。
こんなにも痛みを感じている自分に、
────涙が、
止まらなくなってしまった……