バサッ!
………あたしの目の前が、真っ暗になった。
え……えっ!? なにっ!??
頭の上に、何かが覆いかぶさっている。
モゴモゴして、それをどけると───
それは、雄仁のパーカーだった。
「な……なに? 寒くないよ。大丈夫……」
返そうとすると、
「ちげーよ」と、もう一回あたしの頭にかぶせる。
「なにー? なんで頭に………」
「おまえ、泣いとけ」
「………はっ?」
「どうせ、説明つかないんだろ。
でも、心がつらいんだろ。
───涙は、女の特権なんだよ」
「……“泣け”って言われても……」
「とことん、手がかかるヤツだな、おまえって………」
言うなり、────
頭にパーカーがかぶさったままのあたしを、引き寄せた。
そのまま、背中をトントンしてくる。