あたしが無言でいると、
いつの間に非常階段を上り切ったんだか、雄仁がその先の柵をひょいっと飛び越えた。
「………なんだよ。
スカートじゃねぇから、いけるだろ。どんくせーな」
モタモタしているあたしに一言。
「………雄仁、優しくない。……甘えろって言ったのに……ケチ」
ボソボソ、憎まれ口を叩く。
「俺、“優”しいって字じゃねーもん。
“雄”々しく蹴飛ばすのが、俺の愛情」
不敵な笑いを浮かべながら、さっさとその先の梯子を登ってってしまった。
……あー、そう!
自力で上ればいいんでしょ!
決して運動神経がいいとは言えないあたし。
やっとこさで柵を越えて、梯子を上がると
───ヤツは一服していた。