乗り換え電車が出発するのを、ボックスシートに座って、ぼーっと待つ。
今日は3コマ分あるから、頑張らなきゃ……。
ケータイを出して、時間を確認する。
その時───ちょうど向かい側に下り電車が入ってきた。
この電車の接続を待って、あたしの乗った電車が出発する。
よし、あと少し………そう思って、
パラパラ降りてくる向かい側の人の流れをぼんやりと見ていた。
ふと………郁生くんの高校のブレザーが、何人か目についた。
濃紺の上着に、グレーのチェックのズボン。
あぁ、そうだ、……まだ、入学祝い考えてな……
「────………」
あれ……今の………
あたしは、窓の桟についていた頬杖から顔を上げた。
学校帰りの高校生の中に郁生くんの姿。
でも………その隣に、
同じ高校の制服を着た女のコが、並んで歩いていたんだ。
やがて、笑顔で会話する二人の姿は、
地下通りへ続く下り階段の方へ消えていった───……。