「いいなぁ、タクシー……あたしはそろそろ出るかな」


一人ごちて、荷物を取ろうとすると、



「───そーいや、トーコさん」


「ん?」


「入学祝いくれないの? かわいい甥っ子に」


「…………」


「あれ?」


「………かわいい……」


「あ、ツッコむところ、そこ?」


「……前向きに検討いたします………」


「お、やったね! 楽しみにしております」


いってらっしゃい、と手をヒラヒラさせ、にんまりする郁生くんに、


「はいはい」とため息を残しながら、あたしは家を出た。