「トーコさんの大学、同じ駅なんでしょ?」
「そうだね。……いくつか高校とか大学あるから、通学時間帯はかなり混むよー」
「電車、めんどいなぁ……」
「うーん……まぁ、そのうち慣れるでしょ」
そこへ、バタバタっと母親がやって来た。
「あぁ、おはよ。
───郁生、食べてる? 50分には出るよ」
「分かってる」
「自転車? あたし、車出せないよ?」
「スーツで自転車乗らないわよー。タクッて行きます」
「わぁ! 便乗したい!
……けど、帰りが困るか………」
「そうねー、帰りに歩く気あるならどうぞー」
そんなやり取りをしながら、母親は忙しそうに洗面所へ消えてった。