「おまえの頭ん中なんかお見通しなんだよ。

まぁ言いたくなきゃ、言わなくてもいいけど───人様に迷惑かけるくらいなら、俺に甘えろ」


そんな、一つ間違えると誤解しそうなセリフを、さらりと言ってのける。


これが、雄仁たる所以だよな………。



「………失恋なんか、してない」


「そか?」


「そもそも………恋なんか、してない…よ……」


「───まぁ、いいや。

人肌恋しいなら、いつでも貸しちゃるぞ」


「えぇー!? そいつはお断りーっ!!」



軽口に笑い合いながら、

───頭の隅っこに一生懸命追いやっていたことを、いともあっさり見抜いた雄仁に、

あたしは内心胸がドキリとしていた。


妙に鋭いところ、相変わらず。


一瞬、頼りたくなってしまった………けれど。




誰にも話せないよ。



あの夢のことや、その続きも、



────あたしが、知らない振りをしている、この気持ちも……