………泉への道なき道を、郁生くんはあたしに気遣いながら、
手を引いて前を歩いてくれる。
あたしはその背中を見つめて、追いながら、
───やっぱり、妙な感覚に囚われていた。
“懐かしい”………そして、もう一つ。
これは、あたしの感情なの?
それとも、夢の続きなの?
現実ならば───有り得ない……てか、
あってはならないもの。
郁生くんだけには、感じては困るもの。
“懐かし”くて、そして───……
「トーコさん、……もうすぐ着くよ」
歩みを少し緩めて、郁生くんが振り返った。
「気分は? 大丈夫??」
「あ……へ、へーき」
自分の心の中を悟られたくなくて───ぶつかった瞳を、つい逸らしてしまった。