───郁生くんの足がピタッと止まった。


振り返り………な、なんでそんなおっきなため息つくの??


しかも、頭抱えて………



「ご、ごめん……年上のクセに、情けないこと……」


「トーコさんってさ、天然……だよね…」


ちょっと仏頂面になって、郁生くんがそんなことを言う。


「え…えと……そか、お礼のタイミング……遅い…よね」


「いや、そうじゃなくて───……もう、いいや」



もう一回「はー」とため息をついた後、「ん」と差し出された左手。


あたしは、………自然に、その手を掴んでいた。