「“おそよー”、って……」
「あはは、もう熱はすっかり下がった?」
「うん。今朝測った時は36.3℃だった」
「お、よかったね」
「おかげさまで。……ねぇ、お母さんは?」
コップに牛乳を注ぎながら、のんびりと他愛のない会話が続く。
「ばーちゃん、買い物に行ったよ」
「どこまで?」
「さぁ? ───『入学式に着て行こうと思ってたスーツが入らない!』って、今朝騒いでたけど」
「あー……」
なんとなく、その光景が目に浮かんで、苦笑する。
「そっかー、入学式か。いつ?」
「8日」
「もうすぐだ。楽しみだね!」
「別に…ずっと休みでいいのに。めんどくさい」
「何よー、青春しなさいよー。こーこーせぇになるんでしょー」
「花の女子大生こそ、青春しなよ。トーコさんも授業始まるんでしょ」