長めのコールでも切れないので、あたしは子機を取った。


「もしもし………」


少し緊張気味に、電話に出ると───


英語のアナウンスが聞こえ…………



『────もしもし!?』


勢い込んだ男の人の声に、一瞬戸惑う。


……英語……国際電話………男の人………


『もしもしっ!? ───良かった、繋がって!』


「えっと………え……」


『その声………トコちゃんかい??』


「あん……ざい……さん……?」



“安西隆之”さん───ココねーちゃんの旦那様。………郁生くんのお父さん。


こんな夜中に………わざわざ……電話…………なんで……?


驚きに、戸惑いにざわつく胸に、思わず郁生くんを振り返りながら、

………あたしは不意に次の言葉を聞きたくないような、言い様のない不安に駆られた。


『トコちゃん、お義母さんはっ!?』


「今夜は………泊まり。……あの……どうしたの
……?」



鬼気迫るその様子を問うと、

安西さんは絞り出すような、悲鳴のような声を上げた。




『────ココと、赤ちゃんがっ…………!』