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─────お風呂を済ませたあたしと郁生くんは、そのままそれぞれの部屋に戻るのが惜しくて、
リビングで一緒に映画を観ることにした。
ソファで他愛もないおしゃべりをしながら、いつの間にか眠っていて───
深夜……………それは、突然やってきた。
夢の狭間に鳴り響く電話の音に、あたしはふと目を覚ました。
電話………鳴って…る………?
ソファで毛布にくるくる巻きになりながら、そのまま寝ちゃってたみたいで、
ふ……と時計を見たら、2時近くを指していた。
こんな時間に、………誰……?
間違い電話………?
……母親からなら、直接ケータイに掛かってくるはず………
寝起きでぼーっとしたまま電話を見つめていたら、そのまま切れた。
やっぱり、間違いか…………
と、思ったら───数秒後、また電話が鳴り出した。
「ん………でんわ………?」
横で同じく寝てしまっていた郁生くんも起きた。
「1回切れて、また掛かってきてる……」
「なんだろ、……出ようか?」
「ううん、あたし出るよ。……お母さん、かな……?」