「───過大評価、しすぎでしょ??」
それに、郁生くんをわざと妬かせるようなこと、しでかしてるんだし。
「んー…………なんか、あの人に対しては、……なんていうか、『すごいなー』『俺はこんなふうには出来ないなー』って思っちゃうんだ」
「郁生くんが雄仁みたいになったら、嫌なんですけど………」
真顔の返答に、郁生くんはクスッと笑って続けた。
「きっと、トーコが気づいてないこと、いっぱいあるよ。でも───」
にゅっと伸びてきた手のひらが、あたしの頭をぐしゃぐしゃっと撫で、
「ゆーじんさんに惚れられたら困るから、教えてあげない」
ほ………惚れること、ないよっ!!
助けられることは───不覚にも、ほっとさせられたことは……
確かに……何度もあるけど…………
「そうだなー………なんか、前世(カコ)の………兄上に感じてたのに、似てるのかな………」
「もう囚われてるつもりなかったんだけど……結局、まだそうなのかなあ?」と付け加えて、郁生くんは小さく苦笑した。