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「少し、スッキリした?」


「…………ん」


冷めてしまった紅茶を一口飲んで、はー……っと息をついた。


涙は止まり、何かがそれと共に流れ落ちた気分だ。



「郁生くんは、…………」


「ん?」


「郁生くんは、大丈夫……?」


「俺?」


「大学祭の後、元気なかったでしょう? 珍しく、お母さんにも『郁、なんかあったの?』なんて言われたから……」


「あー…………」


郁生くんの苦笑い。


「あのバカ、やたらしつこいし、勘がよくて……

色々言ってくるし、トーコにグイグイいくからさ………まあ、疲れてただけで大丈夫」


「そう……?」


心配げに覗き込むあたしに、郁生くんは「うーん……」と唸り、

────やがて、まるで観念したように呟いた。


「あのさ………なんとなく、妬いちゃうのは………ゆーじんさんだけ」


「………えっ!?」


思わず、マグカップが落ちそうになった。


───な、なんで、雄仁!?



「ゆーじんさんは………なんていうか……『敵わないな…』って…………」