「“変わりたい”って思うのに………“強くなりたい”って思うのに…………ごめん……」


「───今日のトーコ、謝ってばっか」


郁生くんは、「少し前までと、逆だね」と、あたしの頭をくしゃっと撫でた。


「俺、高校生で、社会人になるのはずっと先………守れる力は、まだまだ足りないけど、

───それでも、トーコと一緒にいられるなら、なんだって頑張る。

だから………」


泣きべそのあたしを覗き込む、郁生くんの笑顔……


「辛い時は、今みたいに言って? 一人でため込まないで。

………辛くない訳ないんだ。辛いことはきっとこれからも沢山あるだろうし、解決出来ないことだって出てくるだろうけど……

何とかしていこう? ────二人で」


「…………っ」


雨上がりの雲の間から射し込む、おひさまの光みたいに眩しい………


「あ……あたしばかり甘えてたら、郁生くんが辛くなるでしょ……?」


「俺が一番辛かったのは───トーコへの気持ちを抑えてた時。

だから、今は………こんなに想われて、自分も気持ちが伝えられて、幸せ」


「────」