──『皆を騙して……』

──『大切な、回りの人を傷つけて………そんなにまでして、郁生の手をとることが』

──『…………トーコさん、ほんとに幸せ?』



思い浮かんだのは、………両親……瑤子ちゃん……
……ココねーちゃん……



「家族……皆のことは、大切………

その大切な皆を、郁生くんと天秤にかけて選んだ訳じゃない、そんなつもりないのに………」



そして────さらに浮かんだのは、

命を自ら絶った、澪の母……
澪が斬首にしたお豊……
………狂気に病んだ父……


──『皆を騙して』──


こんな言葉に反応してしまうのは、



…………“澪”………


貴女の呪縛───………




「でも“選んだつもりじゃない”なんて───そんなの、綺麗事だよね………

いつか、傷つける日がくるかもしれない。
いつか、壊してしまう日がくるかもしれない。

………だから、この言葉がこんなに刺さる……」





最期には…………一番大切な人さえも騙して、



真を、一人で死なせた───………