涙声でたどたどしくなりながらも、あたしも答えた。


「あたしは………一ヶ谷君が言ってた、“普通の幸せ”───祝福されて………結婚して、子ども産んで……

……郁生くんと一緒にいることを選んで………“普通じゃない未来”になっても………」


「うん………」


「二人きりになれることが、少なくても………こういう恋人らしい時間が、たまにしかなくても、

………郁生くんと気持ちが繋がっていられれば……どんなことも、頑張る………」



もっと、一緒にいたい。
もっと、側にいたい。
もっと、触れていたい。

もっともっと、────


そんな気持ちがない訳じゃない……


でも……………そうやって、全てを失った澪(カコ)の繰り返しにはなりたくないから。


────せっかく繋がったこの糸を、切れないように大切に紡ぎたい。


それは、強い気持ちで言える。




「ただ───………」


「………ただ……?」



「『皆を騙して……ほんとに幸せ?』って言われて………」