「な……なに?」
予想してなかった接近に狼狽えるあたし。
背の高い郁生くんは、あたしの脳天にチュッとして、
「トーコさん、可愛い……緊張し過ぎでしょ」
「───っっ」
み……見抜かれてる!
背後から長い腕が伸びてきて、あっという間に捕まえられる。
「………あ………あの」
「………なんか……赤ずきんちゃんを目の前にした、狼な気分」
「!!」
瞬間───耳までカアッ!と熱くなるのを感じた。
「だ……だって…………ひゃっ!」
思わず、足の力が抜ける。
だって───く………首っ!
首筋………“ちゅっ”って!!
「………おっと!」
腰を抜かしたあたしをナイスキャッチした後、
郁生くんは耐えきれないように、笑い出した。
「もー! なんで笑うの!?」
「ごめんごめん………トーコさん、可愛すぎ」
「もー! ………お湯っ! お湯沸いた!!」
「危ないから、俺やるよ。トーコさん、ソファー座ってて」
「だっ……大丈夫! ───お風呂! お風呂沸かしてきて!」
「はいはい」