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結局、一ヶ谷君と二人でカフェに入ってお茶するのは気が進まず、考えあぐねていたあたし。
「自販機で何か買って、ブラブラしよー。ついでに学部棟案内してくれるとうれしー」と言う彼の言葉に押されて、
「次の授業が始まる前まで」という約束で、大学構内を歩き始めた。
「ここの大学、受けようと思って」
「そうなの?」
「トーコさん、いるじゃん?」
「………あたし、5つ上なので、一ヶ谷君入学する頃にはいないけど」
「あーっ! そうかーっ! なんたるミステイク!!」
がびーんっ!と一ヶ谷君が頭を抱える。
「んじゃ、……あ、大学院行くとか? どう??」
「……家庭科で大学院行く人、あまりいないよ。
いても、研究職とか、将来教授になりたい人とかがほとんど。
あたしは小学校の先生になりたいから、大学院は興味なし」
「なぁんだー……しょぼん」
「てか、何学部行きたいとか、あるの? 一ヶ谷君、文系? 理系??」
もし行きたいところがあるなら、その方が効率良さそうだ。