「カナエ、そうじゃないでしょっ!
………ほんとに来るとは思わなかった。昨日のメール、冗談だと……
この前もだけど、一応部外者なんだから、堂々と高校のブレザーで大学にふらふら出入りしてたらダメでしょ?」
「あ、そっか。
私服ねー、これから潜入する時は気をつけまーっす」
あたしの呆れ顔もなんのその、“ラジャッ!”とポーズを取る一ヶ谷君に、
カナエが「相変わらず、可愛いね、キミは」と、おっさん上司のような発言をする。
頭いたいな………
───そう、一ヶ谷君がこんなふうに大学にひょっこりやって来たのは、今日が初めてじゃない。
大学祭から2週間くらい経った頃、
『郁生に聞いても杏崎に聞いても埒があかないからさー、直接会いにきちゃったー』
と、ちょうどゼミが終わり、ゼミが同じカナエときぃこといたところにバッタリと出くわした。