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「おーい柊子ー、次休講だってよー」



一般教養棟から教育学部棟に向かっている途中、そんな声に振り返ると、

同じ学科のカナエが手を振りつつ、外階段を降りてこちらにやってきた。


「えっ、そーなの? ………あ、ありがと。

そっかー、ラッキーだけど、無駄に時間あいちゃうなぁ」


カナエが見せてくれた休講情報の写メを確認して、あたしは時計を見た。


「きぃこにもメールしたら、『ゼミのレポまとめるのに、研究室行かない?』って」


「そだね。──あ、うーんとライフセンターで何か買ってからにしようかな。寒くって……」


今来た道を戻るような形で、カナエと歩いていると───



「────トーっコさんっっ♪」



こっ……この声………


恐る恐る振り返ると、そこにいたのは………


「おー、一ヶ谷少年、久しぶり~」


先にカナエが挨拶した。


───そう、大学祭の時に知り合った、郁生くんの友達の“一ヶ谷君”が、

犬コロみたいな笑顔で立っていた。