もー……郁生くん………


赤くなっているであろう頬を押さえて、あたしは急いで部屋に入った。


………こんな顔、母親に見られたら、一発でアウトでしょ。


気をつけてよ、もー………


ちょっとふくれ面を作りつつも、あっという間に顔がにやける。


「郁生くんの……バカ………」


全く抗議になってない表情で、あたしはパンフレットを覗き込んだ。


ここなら県外だし、知り合いになんて会わなそうだし、二人で出かけても大丈夫か……


「~~~~っっ!」


嬉しくて、込み上げてくるものに足をパタパタしていると、

ケータイメールの着信音が鳴った。


「───?」


よっこらしょと起き上がって、メールを開くと、


「……………」




────悩みの種を思い出し、

それまでの幸せ気分が一掃されてしまったあたしは、

小さくため息をついた………