踊り場で立ち止まったあたしに、雄仁は


「なんでって……“優しい”から」


クッと笑うその感じは、完全にからかい口調だ。


「………さっきのJKとのトーク、聞いてたんだ。雄仁、えっち」


「だから───“俺はエロいよ”って言ってんじゃん」


「もー……」


なんだか、うやむやにされた……。



「……わっ、あんたどこ上がってんの!?」


見ると、踊り場脇に置いてあった事務机に乗り上がり、さらに壁の梯子に手を伸ばしている。


「サボるなら、物いっぱいの部室よか、こっちの方がいいだろ。天気もいいしさ」


どうやら、天井に穴が開いただけのような簡易な出入口から、屋上(…と言える代物ではないが)に上がる気らしい。


「……サルっぽい」


「おまえも上がんだよ、クマ子」


「クマ子ってなに!?」


「のそのそしてねーで、チャッチャと上がってこいよ」


あたしの運動神経を、暗に馬鹿にしてるな、コイツ!