★ ★
「おまえ、今モテ期なんじゃねーの? あんま運を使い切んなよー」
サークル棟の手前のカフェ裏辺りで、雄仁がからかうように言ってきた。
「モテ期じゃないじゃん、こんなの……」
ぶーたれたあたしに、サークル棟入口の自販機で足を止めた雄仁は、
「ほらよ」とあたしにミルクティーのペットボトルを投げて、
「それからさ」
コーラのボトルをグイッと飲んで、あたしのおでこをつっついてきた。
「後でフォローしてやった方がいいぞ、焼きもちやきに」
「焼きもちやきって……あ、ありがと、これ……」
あたしのお礼は気にせず、雄仁がサークル棟脇の階段を上がり始める。
「喧嘩んなる前に、ちゃんと自分で何とかしろよな。
───だいたい、わざわざニシさんに声掛けてもらったのに、なんで俺を連れ出すんだよ。
そーいうとこ、気をつけてやんないと、相手の不審を買ったり、傷つけて、取り返しがつかなくなんだぞ」
「おまえ、バカじゃん?」と振り返る雄仁に、ぐぅの音も出ない。
確かにバカ………。