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「おまえ、今モテ期なんじゃねーの? あんま運を使い切んなよー」


サークル棟の手前のカフェ裏辺りで、雄仁がからかうように言ってきた。


「モテ期じゃないじゃん、こんなの……」


ぶーたれたあたしに、サークル棟入口の自販機で足を止めた雄仁は、

「ほらよ」とあたしにミルクティーのペットボトルを投げて、


「それからさ」


コーラのボトルをグイッと飲んで、あたしのおでこをつっついてきた。


「後でフォローしてやった方がいいぞ、焼きもちやきに」


「焼きもちやきって……あ、ありがと、これ……」


あたしのお礼は気にせず、雄仁がサークル棟脇の階段を上がり始める。


「喧嘩んなる前に、ちゃんと自分で何とかしろよな。

───だいたい、わざわざニシさんに声掛けてもらったのに、なんで俺を連れ出すんだよ。

そーいうとこ、気をつけてやんないと、相手の不審を買ったり、傷つけて、取り返しがつかなくなんだぞ」


「おまえ、バカじゃん?」と振り返る雄仁に、ぐぅの音も出ない。


確かにバカ………。