「ご、ごめん……てか、雄仁?」
「うん。そこで景品並べてる。自分で声掛けりゃいいのに。人遣ってさ、まったく」
……なんで。
あたしはテント裏からそーっと手を伸ばして、雄仁のパーカーの裾を引っ張った。
「うおっ、なに?」
「いいから。ちょっと来てよ」
「なんでだよ。ニシさんから聞いただろ。早く行ってこいよ」
「一人じゃ出づらい」
「はあっ?」
押し問答してても無駄と踏んだのか、雄仁が渋々腰を上げて、テント裏に出てきた。
「おまえ、なんで俺を引っ張り出すんだよ」
「部室に行けって言ったの、雄仁でしょ」
「ニシさんと行けばいいじゃん」
「……仕切ってる彼女がいなくなったら、皆が困るじゃない」
「はーっ、めんどくせーな」
ぶつぶつと喧嘩越しな会話を繰り広げつつ、
あたし達はメイン通りの人混みを過ぎて、サークル棟まで歩き出した。