「何枚目だったっけか? ちびっこより長く居座ってんじゃね?

一緒に来てる友達、待ち疲れちゃってさ、さっきまで俺とダベってた」


……あ、ほんと。

未桜ちゃんの隣に、もう一人高校生の女のコが座っている。


「未桜ちゃんらしいね、すごーく真剣」


「負けんのは駄目なんだと」


「何それ、そんな勝負師みたいな」


「そだ……他の連れは、中庭の店をぐるっと回って、また戻ってくるってさ」


あたしの頭にポンッと手を乗せたヤツはそんな言葉を残し、

景品のお菓子の陳列をしてる2年生達の輪の中へ行ってしまった。


それ、郁生くんのこと………。


振り返ったものの、聞けずじまいなあたしは、小さくため息をついて未桜ちゃんの側に行った。


「……真剣、だね」


「わぁっ、さくらさん! ───うぉっ!!」


あたしの声に驚いた未桜ちゃんの手がびくっと揺れて、

その途端型抜きがポリッと折れてしまった。