「───郁……」


「5分待つよ」


「え……」


「その間に……輪廻の縁を断ち切りたいって、……もう、俺と関わらないって思うなら、行って……」



「それ………」


聞き返そうとして、


「卑怯だって、分かってる。
けど、どうしても自分からは手離せないから………

いっそ、トーコさんから突き放して───………」


言いながら……郁生くんが、あたしに背を向け、

ひらっと後ろ手に手を振り、丸太のクライミングウォールの向こう側に消えた。



残されたあたしは───………