「助けられなかったのは、本当だし。
澪が一番俺の助けを求めていた時に……」
「でも、………あの時は、…確か……離ればなれにさせられて………」
知らなくても、駆けつけられなくても、仕方がないし……
「俺……昨日トーコさんが思い出したこと、あの当時知らされてたんだ」
「え………」
「……あの頃、足をやられてて、枷もつけられて、動けなくさせられてた……
そこに父がやってきて、嘲笑うように話していったっけ……」
「────………」
「折檻されて、意識が朦朧としている時、近くの部屋にわざと澪を連れ込んで……てこともあったり……
でも、動けなかったことは言い訳にしかならないね。
───俺、一番大切な人が滅茶苦茶にされるのを、止められなかったんだ……」
郁生くんの声が震え、憎しみが籠る。
「初めて────本気で人を殺してやりたいと思った………あいつを」