「そっ…! なんで? 憎んでなんて……。
“巻き込まれた”って、それは違う。

互いを求める気持ちが手離せなくて、私達は共に堕ちたんじゃないの……?」


「うん……」と小さく頷いた郁生くんが、


「澪の方が記憶を閉じ込めてる部分があるじゃない? ……思い出すのを拒否してる、みたいな。

花見の時、……初めて記憶に触れた時、トーコさん泣いてた。
夢や影に脅えて……昨日のことだって……生まれ変わっても、こんだけ苦しめてる。

───俺がついつい謝っちゃうのは、そんな後悔から……」


「……昨日のは、あたしの八つ当たり……。

郁生くんの気持ちも知らずに……ごめん」


すると、苦しそうな……自嘲気味な表情を浮かべた彼は、押し殺すように続けた。