「今日は……考えてること、全部話そうと思って……。
トーコさんにとっては辛いことも入ってるから迷ったけど………聞いてくれる?」
そっと身体を離してあたしを覗き込んだ郁生くんは、「うん…聞きたい…」というあたしの返事を待って、
手を繋いで少し歩き、やがて総合遊具の丸太の上に座った。
あたしも、促されて彼の隣に座る。
「………さっきも言ったけど、さ───澪を愛したことを後悔なんか、絶対してない。
澪は同じ両親から生まれた実の妹で、誰にも祝福されない……許されない想いだって解っていたけど……」
そっ……と触れる手のひら。
丸太についていたあたしの手を、郁生くんの大きい手のひらが包み込み、指が絡め取られる。
「でも……澪の人生が幸せだったか、って問われると……
もっと普通の人生も歩めたはずなのにさ?
あんなふうに巻き込まれて、辛い思いを沢山して、俺のことを……憎んでいるかもしれないって」