「だって……郁生くん、いつも謝るから……」


苦しさを感じながらも、素直に謝れなくて、

またしても彼を責めるような言葉を吐き出すと、


「ごめん……」


相変わらずの郁生くんの返答に、思わず振り向き、


「ほら────また」


「あっ、ごめ……」


「もうっ! すぐに謝らないでって───」


……二人の目が合って、


「…………」

「…………」


そして、


「………ぷっ……」


───どちらからともなく吹き出してしまった。



…………二人でいて、こんな風に笑い合ったのって、どれくらいぶりだろう?


急に、肩に入っていた力が抜けた気がして、


「………郁生くん、ごめんね」


あたしは、目を見て謝ることが出来た。