しょーがない、だってうちゅー人だし……とちっちゃなため息をつくと、

あたしはヤツに追いつき、肩を並べつつ、


「だいたいさぁ、あたしは好みじゃないんでしょー? 前に屋上で言ってたじゃない」


軽く逆襲を試みると、


「あぁ、それ」


小さく返事をした雄仁は───


えっ。

……ちょっ……なんで、あたしの手を握るの……?


驚いて顔を上げたあたしに、雄仁が何でもないことのようにサラリと言ってのける。


「好きになったヤツが自分の好み。だから、タイプとかあんまりカンケーない」


「────………」


それって……えーっと……


「えっと、あの……今の、好みのタイプは……」


「おまえ。気づかなかったか?」


「───全然、気づかなかった……」


「まぁ、そーだろな」


軽く笑った雄仁は、繋いだままの手を口元に持ってきて、

あたしの指先にリップ音を立ててキスをした。


「────! ちょっ……!!」


「おまえ、ニブいからさ。でも長期戦で、のんびりいくさ」