自宅に戻った日から───……
その夜から見始めた“紅い夢”は、今も続いていて、
それと同時に、正体不明で不気味な“黒い影”の存在も、感じることが時折あった。
あれ以来眠りが浅く、夜中に何回も目が覚めて慢性的に寝不足だし、
食欲も落ちて、
実は1ヶ月しないのに、体重が4㎏も減ってしまっていた。
あたしの事情を唯一すべて知っている瑤子ちゃんに話を聞いてもらって、少し気が紛れているけど、
解決しないまま、夢と影に怯える毎日で、かなり精神的に参ってる。
───解放されたい……
もし、“澪”の記憶を思い出さなかったら、悩まされることはなかったんだろうか。
“澪”の記憶を忘れられたら、この夢を見ることはなくなるんだろうか。
あってもいいことのないだけのあたしの中の“澪”の存在、
もて余しているこの想いと一緒に、いっそ消えちゃえばいいのに………