あらゆる靴の箱が積まれている、高い棚が立ち並ぶ狭い通路の端で、よいしょと立ち上がりながら、
「───……」
あたしを含め大学生のバイト4人と、
パートの野沢さん、関さん、
そして主任の今井さんが出荷作業をしている、この広い倉庫内。
ふと、視線を感じたような気がして。
思わず振り返った、その先に………
───白昼夢。
倉庫のどん詰まりの暗がりに、黒い影がゆら…っと揺れて……
こちらへ手を伸ばしてきたように見えて、あたしはじりっ…と後ずさった。
……嫌だ……来ないで…!
その瞬間────フラッシュバックのように、頭に思い浮かぶ。
あたし──私は、誰かに……追いかけられてた……
暗く長い廊下……後ろを振り向く間もなく、逃げて……
……捕まったら………嫌……
助けて─────真っっ!!
「………まーなべさん! 何サボってんの?」
「いやっ……!」