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「“桜の花が特別”って、なんで?」
母親が買い込んできたフランクフルトを頬張って歩きながら、
ふと郁生くんが聞いてきた。
「───どんだけ前の会話にツッコんでんの…」
これまた、あたしもあーん、と口に入れたたこ焼を飲み込んで、呆れ気味に答える。
少し前で、母親が父親の腕を引っ張り、
「あっちも綺麗! こっちも綺麗!」
とはしゃいでいるのを、眺めつつ、
「うーん……」
と説明に困ってしまった。
「一番好きな花……なんだけど……それだけじゃなくて…さ」
「うん」
「んー……ちょと、説明できないなー」
「元カレとの思い出?」
「そんなんじゃありません!」