「郁生くんこそ、買ったばかりのフリスビー、お堀の中に落としたでしょー!
そんでベソベソ泣いてさー、可愛かったのになぁ」
なんとか、反撃を試みると、
「その後、『絶対に取る!』って、トーコさんがお堀の中に飛び込もうとして、大騒ぎになったんだよね」
くっ……そーいや、そうだった……。
あっさり返り討ちに遭ってしまい、立場のないあたし。
だってさー……あれは、郁生くんが
『トコちゃん、ごめんねぇ……』
て、何度も何度も泣いて謝るから……。
今になりゃ、お堀の中に入ろうなんてバカ!?と思うけど───
あの時は、泣きじゃくる郁ちゃんを見て、
『なんとかしなきゃ!』
と思ったんだもん。
───なんて、
また逆襲されちゃいそうだから、
言わないけどね。