そんなふうに心配してくれてたんだ……


そう思うと、心があったかくなって、自然に言葉がこぼれ落ちた。


「───……『好き』って伝えた」


あの夜を思い出すと、胸がぎゅっと捕まれたように痛くて。


「郁生くんも……『好き』って応えてくれた」


でも、ぽっと心に火が灯るように、優しくて……


「それで……『もう、側にいられない』って……『海外に行く』って言われた……」


───気がつくと、少し前を歩いていた雄仁が、あたしの目の前に立っていて、陰を作っていた。