「おめでと、センセー」


雄仁がミニ向日葵の花束を渡すと、「ありがとう」と受け取った彼女は、


「望絵(モエ)っていうの。今4ヶ月。

抱っこじゃないと眠らなくて困ってる」


対面抱っこ紐の中ですやすや寝息を立てて眠る赤ちゃんは、
手足もほっぺたも鼻も唇も、全てがちっちゃくて、

「わぁ……可愛い……っ」

あたしの口から思わずため息がこぼれてしまった。


そんなあたしに視線を移したその人が、


「……本間くんの、彼女?」


少し悪戯っぽい瞳で雄仁を覗き込み、


「……そんなところ。

赤ちゃん好きだから、連れてきた」


穏やかに微笑んだ雄仁のそんな返事に、


「……そう…」


『よかった』そんな言葉を飲み込んだように、その人はふんわり笑った。