「そーいうトーコさんは、もっとお年頃なのに、
両親と甥っ子とお花見なんて、付き合いいいねー」
「───……桜の花は特別だからいいのよ! 余計なお世話!!」
……郁生くんに気遣ってついて来たのに、逆襲されたのが悔しくて、
「クククッ…」と肩で笑う郁生くんに、ドンッと軽く体当たりする。
「それにしても、なつかしーね」
「なに?」
まだちょっとぶすくれながら、郁生くんの方をチラリと見ると、
「こっちに泊まりに来るとさ、じーちゃんがこの公園に遊びに連れてきてくれてたじゃない?」
「あー……そういや、そーだったかも」
「トーコさんにボール持って追いかけられてさ。
何度もぶつけられたり、ね」
「そっ……! その頃は“バラ当て”って、ドッチボールみたいな遊びが流行ってたんだもん!」
昔のことを言われて、少し赤くなる。