「けっこー、混んでんのねー」
いつもは人がまばらな、城址公園の駐車場も、お花見の時期は激混みで、
グルグル回った挙げ句、結局周りに習って路駐することにした。
桜が綺麗に咲く広場までの道を歩きながら、
母親がキョロキョロして、
「車、停められて良かったわねー」
とあたしに同意を求めた。
けれど、あたしの返事を待たずに、
「あらー、屋台も出てるじゃない! お父さん、何買ってく??」
と、嬉しそうに物色しながら、
父親の腕を引っ張って、フラフラーっと屋台側に惹かれていった。
その後ろを、郁生くんとのんびり並んで歩く。
「……郁生くん、付き合いいいね」
「ん?」
「お年頃なのに、じじばばのお出かけに付き合って、エライなー、て」
「じじばば孝行でしょ」
郁生くんが笑った。