「私…の…こと?

……でも、皆が“椿”って───」


……あれ?


軽く混乱。


まだ、思い出して間もないから、色々な記憶が抜け落ちてるんだろうけど……こんな肝心な……


そう、名前……


あたしの前世の名前……


私、周囲の人間から“椿”と呼ばれていた。

───けど、それは……


そうか……輿入れしてからの、……久我家での呼び名。


故郷の全てと隔絶された私に、新たに与えられた名前。


父上に言われるままに捨てさせられた、私の本当の名は───